松下幸之助さんの「道」
同じ本を読んでも、年齢により、感じ方が随分と変わるものです。以前にも読んだことのある松下幸之助さんの「道」という題名の文を読み今回は目頭が熱くなりました。皆さんにも一緒に味わってもらえばと思います。
「道」
自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない自分だけしか歩めない、二度と歩めないかけがえのない道。広いときもある、せまいときもある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もある。なぐさめを求めたくなる時もある。しかし所詮はこの道しかない。あきらめろというのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道。自分だけに与えられているかけがえのないこの道。他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道は少しもひらけない。道をひらくためには、まず、歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ、遠い道のように思えても、休まず、歩む姿からは、必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。
以上です。 山川和邦